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セーク村の結婚式(前)
投稿日 2018年9月30日 23:25:00 (未分類)
秋の風が吹きはじめた、9月のはじめ。
再びセーク村へ夜行列車の乗り、やってきた。
家族で過ごした夏の思い出が鮮やかによみがえってくるが、
ひとりでいるのが不思議な気持ちだ。
今回の目的は、結婚式を見ること。
昨年夏にもあったのだが、うっかり日時を忘れてしまい、心残りで仕方なかった。
伝統的な結婚式は、もう村でもする人が少なくなったと言われている。
結婚式の準備は3日前から行われていた。
今回は、前日との2日間のみ。
飾り付けに使われるのは、このローズマリー。
花嫁宅にて、辺り一面にさわやかなハーブの香りが漂う。
結婚式で花嫁が身に着ける冠と
花婿が帽子に飾る帽子飾りは、
すべて生きた植物、ローズマリーで作られるのだ。
ローズマリーの冠(パールタ)は女性が、
ローズマリーの帽子飾りは男性が作るのが習わし。
普通は冠は花嫁宅で、帽子飾りは花婿宅で作られるのだが、
今回は花嫁だけがセーク出身なので、同じ場所で作業する。
結婚式その日のために一日がかりで作られる、贅沢な装飾品である。
冠をもつ役と縫う役がいる。
ジュジャおばさんは、いつも結婚式で呼ばれる冠作りの名人。
服を縫うかのように、二列のローズマリーを黒糸で縫い合わせ、
やがて縁の飾りを付けてから赤い布で内側を包み、
やがて赤いリボンでできたバラをつける。
美しいローズマリーの冠の出来上がり。
日持ちがしないため、結婚式のあるごとに作られてきた。
手はかかるが、そのために技術が継承されてきたのである。
一方、こちらではローズマリーの帽子飾り(ボクレータ)が作られている。
針や糸は一切使わず、ローズマリーのちいさな束を針金に差し込み、
きれいに剪定していく。
やがて、クジャクが大きく羽根を広げたような扇型ができあがる。
赤いリボンでできたバラと、
蝋でできたカラフルなバラの花を添えて、
さらに三つの鏡を取り付ける。
仕上げに「金の煙」と呼ばれる、金色のアルミ紙を丁寧に飾り付ける。
華やかな花婿のボクレータ(帽子飾り)。
清潔の部屋では、明日の結婚式に備えて、
衣装を取り出しているところだった。
紙のように固く糊付けされたブラウスの袖をほぐしている。
家族と親戚、親しい友人たちが総出となって作りあげる結婚式。
明日はいよいよ結婚式がはじまる。
Source: トランシルヴァニアへの扉 – Erdely kapuja-
Source: 東欧あんてな
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